現代ポートフォリオ理論の結論:最適ポートフォリオは”市場平均”③


アイヤー!

現代ポートフォリオ理論の結論がなぜ”市場平均が最適ポートフォリオ”となるのか、その結論に至るまでの過程を解説します。

本当は一つの記事にまとめようと思ってたんですが、気づけば3回目になってましたw

前回の記事で接点ポートフォリオこそが最適ポートフォリオになることを説明しました。もしよければこちらも見てみてください。





現代ポートフォリオ理論の結論


ここからはかなり強引にも感じる理論なんですが、

接点ポートフォリオが最適なポートフォリオならば、全ての投資家は接点ポートフォリオを保有するだろう。その結果、接点ポートフォリオが市場平均となる。


ということになります。これがいわゆる現代ポートフォリオ理論の結論で、市場平均こそが最適ポートフォリオとなる理由です。

どうでしょう?なかなかファンキーな考え方ですよねw
かなり大胆な仮定を置いていて、現実世界とはかけ離れた印象を持ってしまいます。

実際、ここでは3つの仮定を置いてます。

  • 全ての投資家はリターンとリスクという2種類の情報のみを見て、投資判断を行う
  • 全ての投資家はそれぞれの資産のリターンとリスクについて同じ値を想定している(リターン、リスクは用いるデータの期間を変えれば変わります)
  • 全ての投資家は接点ポートフォリオに投資する


この仮定を置けば、市場平均が最適ポートフォリオという結論が導かれるわけですが、う〜ん、こんな状況あり得ないという感じがしてしまいます。

ただ、この疑問に対して、冨島 佑允さんの著書 ”投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門” ではこのように言ってます。

「本当にこんな仮定を置いてしまっていいのか?」と心配に思われる方もいるでしょうが、現実世界の枝葉を取り除き、本質だけを残すことで明快な理論を構築するのが、学者の腕の見せ所なのです。

冨島 佑允. 投資と金融がわかりたい人のための ファイナンス理論入門 プライシング・ポートフォリオ・リスク管理


これって経済学とかでも同じだと思うんですけど、人間の行動って多種多様で不確実なものなので、複雑すぎてモデル化できないんですよ。そこでかなり大胆な仮定を置いて、いろんなものをバサッと切って、モデル化すると。

切り捨てるものが大きければ大きいほど、モデルの精度は下がりますが、それでも何も言えないよりは良いということですね。

注意すべき点


現実世界では、インデックス投資の優秀さは過去の実績から明らかにされています。ただ、接点ポートフォリオと市場平均は実際のところは乖離しているはずなので、現代ポートフォリオの話と結びつけていいのかはよくわかりませんw

現代ポートフォリオ理論の結論で勘違いしてはいけないところは、接点ポートフォリオが最適ということです。全ての投資家が接点ポートフォリオのみ保有するという仮定を置けば、接点ポートフォリオが市場平均になるというだけなので、あまり市場平均が最適ポートフォリオと言い過ぎるのもどうかとは思います。


なので、インデックス投資が優れているからと言って、現代ポートフォリオ理論の言う通りだ!と言うのは、違うのではと思ってます。現実世界では接点ポートフォリオと市場平均は乖離しているわけですからね。


はい、ということで、3回に渡って、現代ポートフォリオ理論について説明してみました。この知識が実際に役に立つかは別として、こういう理論を理解するというのは本当に楽しいものがありますね。


では!




N銘柄ポートフォリオ:線から面へ(現代ポートフォリオ理論の基礎)


以前、2銘柄ポートフォリオによってなぜリスクが下がるか説明しました。

1銘柄の場合、選択できるリスク・リターンの組み合わせはとなります(A社だけ、もしくはB社だけ)。2名柄の場合、選択できるリスク・リターンの組み合わせは線に拡大されます。A社、B社の組み入れ比率を変えることで、下記曲線状のリスク・リターンを自由に選択するすることができるようになります。



では、銘柄数をさらに増やしていくとどうなるのか。これが今日のテーマです。

3銘柄ポートフォリオ

銘柄を3つに増やしたときのリスク・リターンの関係はどうなるのか。組み入れ比率を変化させたときのシミュレーション結果は下記のようになります。(3銘柄ポートフォリオのリスクとリターンの式は書くのがめんどうなので割愛しますw平均と分散の定義から導けます。)

それぞれのリターン・リスク、相関係数は下記としました。

リターンリスク
A社12%18%
B社7%14%
C社3%12%
相関係数
AとB-0.4
AとC-0.8
BとC-0.2

3銘柄になると変数が多くなるので、例えばA:B = 50 : 50のポートフォリオを一つの銘柄と考えて、Cとこの銘柄の2銘柄ポートフォリオの曲線を描く、ということをしています。

それぞれの曲線がどの2銘柄の曲線かを示したのが下記です。6パターンの組み合わせで曲線を描いてます。



A:Bの比率をもっと細かく変えていけば、次第に内側が塗りつぶされた面になるでしょう。つまり、3銘柄ポートフォリオでは、面上の点からリスク・リターンを自由に選択できるようになります。




N銘柄ポートフォリオ



さらに銘柄数を増やしていくと、3銘柄のときよりも選択できる面の大きさが広がっていきます。そして、その中に全ての銘柄が含まれることになります。


したがって、ポートフォリオの銘柄数を増やしていけば、様々なリターン・リスクの組み合わせを実現することができるのです。

さて、このように銘柄数を増やせば選択肢を増やせるのですが、どの組み合わせが最も良いのでしょうか。

これはまた別の機会に。

ポートフォリオ効果によってリスクを下げることの理論的説明




私はリスクが嫌いです。

横断歩道を渡るときに、信号無視して突っ込んでくる車がいないか何度も確認するほどビビりです。あと、道を歩いているときに背後に人がいるのも嫌ですね。このご時世いきなり刺される可能性もなきにしもあらずなわけですし。


一般的にもリスクは小さい方が好まれるでしょう。ただし、株式において個別の銘柄のリスクとリターンはトレードオフの関係で、ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンなのです。なので、リスクを小さくしようとすれば、リターンも小さくなってしまう。


悩ましい問題ですね。


これを解決してくれるのがポートフォリオ効果です。ポートフォリオとは複数の銘柄を保有するだけのことですが、これにによって、下記のようなリターン、リスクの組み合わせが実現できるようになります。

図1

ポートフォリオ効果の理論的説明

なぜこのようなことが可能か、ガチガチの理論面から説明したいと思います。

X株とY株の二つの株式からなるポートフォリオを考えます。
X株の保有割をaとし、このポートフォリオをZとすると、

$$Z = aX + (1-a)Y $$

ポートフォリオの平均\(\mu_{Z} \)と分散\(\sigma_{Z}^2 \)は、相関係数をrとして

$$ \begin{eqnarray}
\mu_{Z} &=& a\mu_{X} + (1-a)\mu_{Y} \\ \\
\sigma_{Z}^2 &=& \frac{1}{n} \sum (Z-\mu_{Z})^2 \\
&=& \frac{1}{n} \sum (aX+(1-a)Y – (a\mu_{X}+(1-a)\mu_{Y}))^2 \\
&=& …\\
&=& a^2\sigma_{X}^2 + (1-a)^2\sigma_{Y}^2 + 2a(1-a)r\sigma_{X} \sigma_{Y}\\

\end{eqnarray}$$

途中かなり端折ってしまいましたが(数式入力けっこうしんどい、、、)、このように平均と分散はaの媒介変数表示で表すことができます。

ここで平均(\(\mu_{Z} \))はリターン、分散の平方根、つまり標準偏差(\(\sigma_{Z} \))はリスクを意味してます。

なので、この2式からリターン・リスクの関係が分かるということですね。

リターンはX,Yの単純な加重平均ですが、リスクは何やら複雑な式になってます。。
増減表を書けばリターン-リスクのグラフの全体像が分かりますが、めんどくさいのでそこまでは書きません。一応自分ではやってみました(暇人w)

数式のシミュレーション

増減表は書きませんが、エクセルでシミュレーションを行なってみたので、その結果を載せたいと思います。条件として、下記のように設定し、Xの保有割合aと相関係数rを変えたときのリターン・リスクの関係を見てみます。

  • X株:リターン 7%, リスク 20%
  • Y株:リターン 2%, リスク 11%

点AはX株のみ保有している状態(つまりa: 100%)、そこからaを変化させて点B(Y株のみ保有)に至るまでの軌跡を示してます。色は相関係数rの違いを表してます。

これらの軌跡は左側に膨らんでいる、つまりリスクが低減されていることが分かります。
このときポイントは三つあって、

  1. リターンはX,Yの加重平均である
  2. リスクはX,Yの加重平均よりも小さくなる
  3. リスク低減は相関係数が小さいほど効果が強い


1,2はリスクのみが低減されることを意味していて、「ローリスク・ローリターン」の原則を覆したことになります。たしかに点Bから出発すると、リスクは下がっているにもかかわらずリターンは上がっていることが分かります!図1に示した部分を実現できていますね。

3については、逆の値動きをする2銘柄を組み合わせた方がリスク低減効果が大きいことを示してます。たしかに相関係数-0.8の場合が最も左に膨れています。逆に、相関係数が0.8の場合を見れば分かる通り、1に近いほど効果は薄れます。まあ直感的にもそうですよね。逆の値動きをするもの同士は相殺してリスクは小さくなる。それが理論的にも示されたということです。

まとめ

ということで、ポートフォリオ効果によってなぜリスクが低減するのか理論的に説明してみました。

ここで気になるのが、リスク・リターン曲線上のどの点を買うのがいいのか?ということです。
たしかに、X, Yを組み合わせればリスクを低減できますが、リターンが最も高いのはXのみ保有した場合です。ハイリスク・ハイリターンを好む人はXのみを保有するでしょう。

最適なポートフォリオは何か?これはとても興味深い問題です。

また別のときに書きたいと思います。

では。

共分散の本質を定義から考える

共分散ってややこしいですよね。

ネットで調べても定義が出てくるだけで、そもそもどこからこのような考え方が出てきたのかよくわからん、、、と私は思ってました。

一応高校でも習ってるみたいなんですけどね。

全く覚えてませんw

ただ、投資でもよく使用する相関係数は共分散を-1~1までの値にスケール変換したものですし、現代ポートフォリオ理論にも関係してくる話なので、共分散を理解することって実は大事なことなんじゃないかなーと思ってます。

共分散の前にまず分散について

分散(\( \sigma^2 \))は平均からのばらつき具合ですね。平均との差の二乗の平均で定義されます。

$$\sigma^2 = \frac{1}{n} \sum (x-\mu)^2 $$

例えば、企業Xの株価が下記だった場合、計算は割愛しますが、分散は125となります。

4月5月6月7月
株価1001109080

企業Yの株価が下記だった場合、分散は725となります。

4月5月6月7月
株価230200180250

共分散とは

今回考えたいのは二つのデータを足し合わせたときに、分散はどのようになるかです。

4月5月6月7月
株価X1001109080
株価Y230200180250
合計330310270330

つまり合計の分散ですね。計算すると分散は600になります。
ただ、ここで知りたいのは分散の値そのものではなく、合計の分散とX, Yそれぞれの分散の関係性です。
単純な足し合わせではなさそうです。

分散の定義から、

$$ \begin {eqnarray} \sigma_{X+Y} ^2 &=& \frac{1}{n} \sum (X+Y-\mu_{X+Y})^2 \\
&=& \frac{1}{n} \sum (X+Y-(\mu_{X}+\mu_{Y})^2) \\
&=&\frac{1}{n} \sum (X-\mu_{X})^2 + \frac{1}{n} \sum (Y-\mu_{Y})^2 + 2\times \frac{1}{n} \sum (X -\mu_{X})(Y – \mu_{Y})\\
&=&\sigma_{X}^2+\sigma_{Y}^2 + 2\times \color{red}{\frac{1}{n} \sum (X-\mu_{X})(Y-\mu_{Y})} \end{eqnarray}$$

この赤色の項こそ共分散の正体です。分散の定義式から導かれるものですね。
つまり、合計の分散 = Xの分散+ Yの分散 + 2\(\times \)共分散
となるわけです。

共分散項が何を意味しているか考えてみましょう。

共分散項の意味

平面を\( x=\mu_{X}, y=\mu_{Y} \)で4つのグループに分けると、右上と左下にデータが多い場合、つまりX, Yが同傾向の場合、共分散項は正になり、左上と右下にデータが多い場合、つまり反対の傾向の場合は負になります。また、X,Yがランダムに散らばっていた場合は共分散は0に近くなります。


つまり共分散の意味するところは二つのデータの傾向になります。

したがって二つのデータ群の傾向から\( \sigma_{X+Y} \) の値を調整する、これが共分散項の役割ですね。
データが同傾向であれば共分散>0になるので分散は大きくなり、データが反対傾向であれば共分散<0となり分散は小さくなります。
もし、無関係であれば共分散=0となり、分散はXとYの分散の単純な足しあわせになります。

今回挙げた株価の例では、共分散は-125となります。
確かにXとYの株価の値動きは反対方向ですよね。

よって、
合計(X+Y)の分散=125+725 + 2 \(\times \) (-125) = 600

となり、最初に算出した分散と一致してますね。

なんだかスッキリした気分です。

相関係数については次回書きたいと思います。

投資の前に支出最適化では

近年投資ブームが来てると思います。
特に積み立てNISAや、iDeCoについての本は巷に溢れかえっていますし、ネットの記事もたくさん出てますね。
ただ私が思うに、資産拡大を目指すならまずは支出最適化から始めるべきではないでしょうか。

ちなみに私は節約という言葉がきらいです。なんかせこせこしたイメージがあるじゃないですかw
なので、支出最適化という言葉を使います。無駄を省くというイメージですね。

なぜ支出最適化から始めるべきか

貯蓄は収入ー支出です。
なので、資産を増やす方法としては3つあって、

  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす
  3. 貯蓄を投資で増やす

なんですけど、この中で一番簡単なのってなんですかね?

働いている方なら分かると思うんですけど、収入増やすのって大変ですよね。私の給料も亀のような速度でしか上がりませんw
投資にもリスクがつきものですし、そもそも種銭がたくさんなければ大して増えません。

じゃあ支出削減はどうかっていうと、自分の裁量次第で確実に減らせるんですよね。
しかも、意外と支出って見直してみると無駄なものがたくさんあるんですよ。つまり、減らしても幸福度に影響がない支出がたくさんあるんです。
それを減らして最適化しようということですね。

ということで、私は支出最適化で資産形成の土台を作ることを最優先にすべきでは、と思ってます。

もちろん投資、収入アップもその上で取り組むべきだと思ってます。
あくまで優先順位の話ですね。

今度支出最適化の方法についても書きたいと思います。

それでは。